大切な家族との突然のお別れ。参加したいけれど、体調や状況を考えると難しい。けれど、後のことを考えると、自分も動かなければならない…。
そう苦しんでしまうのは、私自身が化学物質過敏症や嗅覚過敏、喘息を抱えており、義父は視覚・聴覚障害がある状況だからです。線香の煙や消毒液の匂いは化学物質過敏症や嗅覚過敏、喘息のある人にとって負担になりやすいです。
また、義父がどうすれば満足のいくお別れができるかも考えなければいけませんでした。普通の葬式では対応できないことや、確認すべきことは山積みでした。
このブログでは、私の実体験を「お金・制度」「体質・障害対策」「当日の流れ」の3つの視点で詳しくまとめています。
- [上:お金・制度編]:生活保護の葬祭扶助でも後悔しない葬儀はできる。費用・流れ・自己負担の注意点まとめ
- [中:体質・障害対策編]:化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息でも諦めない。視覚障害の義父と一緒に義母を見送るためにしたこと
- [体験談・当日編]:義母の逝去から火葬・収骨まで。生活保護世帯の葬儀の記録
目の前が真っ暗になっている方に、少しでもヒントになれば幸いです。
はじめに
・義母の葬儀の体験談を通して、葬祭扶助について書かせて頂きました
・こちらは中編になります
・生活保護のお葬式(葬祭扶助)を行う予定のある方はこちら
・当ブログの性質上「におい」に関する情報の方が多いです。反応が多ければ、夫にインタビューをして視覚・聴覚障害の介護について書かせていただきます。
化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息持ちの私が感じた現実的な問題
家族や親しい人が亡くなった時、葬儀会社で葬儀を行う時、火葬場での収骨など、化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息持ちの人にとって、大きな負担になりやすいと思います。
私が経験した、「施設」「葬儀場」「火葬場」で注意することを書かせていただきますね。
葬儀会社、打ち合わせの注意点
打ち合わせは基本的に葬儀会場内または併設の事務所内で行われることが多く、体調が悪くなる可能性があります。
化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息を持つ人は会場内に染みついた線香などの匂い、消臭剤、芳香剤、柔軟剤・香水により、体調に影響が出る可能性がどうしても出てくると思います。
事情を話し、葬儀会場以外(電話・オンライン・外など)で相談できるか等、一度確認してみて損はないはずです。自宅にお伺いしますとおっしゃる場合は、ご自身の無理のない範囲で決めて下さいね。
「煙やにおいで体調が悪くなる可能性があります」と伝えた方がシンプルに伝わる
そもそも辛さを理解していただけるかは未知数なので、伝える言葉を工夫するのもおすすめです。
「煙やにおいで体調が悪くなります」と具体的な症状として伝えたほうが、葬儀会社との打ち合わせで相手がシンプルに理解でき、対応いただける可能性があります。
残念ながら「化学物質過敏症」という言葉自体を相手が知らないこともあります。喘息患者ではないのに認知度が高いからと「喘息があります」と嘘を言うのもなんとなく嫌だと思います。
煙やにおいが苦手だとシンプルに伝えることで、換気や煙を避けるなどの実践的な対策につながりやすくなります。
ずっと関わる相手ではないので、『ざっくりと話す』イメージで考えるとラクですよ。
施設〜葬儀前、ご遺体に関する注意点
化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息がある場合、消毒剤・防腐剤・ドライアイスのガス等が負担になりやすいと思います。
亡くなった時の注意点
死後処置の状況により、消毒剤(アルコール系)や薬剤の臭いが残る可能性があります。薬剤を使う場合はマスク着用と換気された場所での待機を優先しましょう。
霊安室など空気が停滞している可能性がある場所では、思わぬ体調不良を招く可能性があるので注意しましょう。
義母の場合、死に装束を着せる前に体を拭きましたが、施設ではお湯を使いました。
施設の職員は手袋をして対応していたのが印象的でした。
体から発するにおいに注意する
腐敗臭(死臭)は、化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息を持っている人にとっては刺激となります。
また、進行を遅らせることはできますが、残念ながら腐敗を完全に止めることはできません。
ドライアイスに注意する
ドライアイスから出る二酸化炭素のガスが高濃度になると、息苦しさ・頭痛・意識障害が起こる可能性があります。また、ガスに混じり死臭や消毒剤の匂いと混ざると複合的な臭気となります。換気が不十分な場合、化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息の人には独特の刺激や息苦しさとして感じる可能性があります。
※義父の葬儀の際、スタッフの方から「棺桶の中でドライアイスを使うため、棺桶をのぞいた時に気絶する方もいらっしゃいます」と言われました。実際に、ドライアイスによる中毒事故が報告されていることも確認できますが、非常にまれなケースです。
そのため、視覚障害者の方が棺の側にいる際は、ガイド役の方は必ず側にいて、体調に気をつけて下さい。
葬儀全般での家族との打ち合わせの注意点
家族(または親族)が、ご自身の病状や困りごとを理解してくれているかで少し変わってきます。
私の過去の経験から書かせて頂きますが、これ以外でもまだまだ対策などはできると思います。
ほかの方にも役立つ情報が増えるので、コメントをいただけると嬉しいです。
家族が病状などを理解しており、協力的な場合
葬儀全般の不安点を具体的に共有し、難しい事や不安な箇所・そして体調不良になった場合のフォロー、そしてメインではなくサブで動き、裏方に徹することを前提に動きを組み立ていきます。
またLINEなどで共有するなど、できる事を提案していく事も大事です。
ただし家族が手が回らない事もあるので、して欲しいことに関しては「できたらいいな」ぐらいに考えていた方がいいかと思います。例えばLINE動画でリアルタイムで通話をお願いしていても、電波が悪かったり物理的または雰囲気的に無理だった、親族対応でそこまで手が回らないなどもあり得るためです。
家族が病状などに関して非協力的な場合
これには、通常は理解や配慮をしていても、親族や外部の人が関わると「世間の目が気になる」「一般的な常識から抜け出せない」など、結果的に体や精神的に負担になってしまう場合も含みます。
この場合は、肉体的にも精神的にも負担が出る可能性が出ると思います。
説明する時は症状を「煙や臭いで咳・頭痛が出て辛い」等とぼかして説明し、「常に換気をお願いしたい」など具体的なお願いを伝えるのが効果的です。もし自分が喪主の立場であれば、家族に代わってもらうか、喪主として主導権を持ちつつ負担の少ない直葬を選んでいくのが無難ではないでしょうか。
特に「化学物質過敏症」を知らない方は多くいらっしゃいます。嗅覚過敏も喘息も人によって症状や強さが違うため、なかなか伝えるのは難しいと思います。そのため専門用語を避け、線香NGや換気依頼を「体調管理のため」と随時、親族の協力をお願いしてみましょう。
難しい場合は、市役所または葬儀会社に相談しましょう。
解決策は必ずあります。
そして、本当に無理な時は、しなくてもいいのです。
その代案をしっかり考えていきましょう。
実際私たちはどうしたか
親族に口出しされないよう、あえて「葬祭扶助を使うので直葬にする」と簡潔に伝えました。
(これは親族を拒絶したいという意味ではなく、当事者として必要な判断を通すためにこのように伝えました。)
親族には、「葬祭扶助を使うので、直葬を行う」と話し、直葬でもしっかり送れる理由を伝えることで口出しをする隙を与えませんでした。
それが出来たのも、事前に市役所と葬儀会社へ事前に相談できたことが強かったです。兄弟や宗教の繋がりが強い場合は特にですが、主導権を親族に任せきりにしないことは、とても大切です。
親族から出そうな意見
- 葬儀ぐらい子供が出すものじゃないのか
- 直葬なんてしたことがないから分からない
- 直葬で故人を安心して見送ることができるのか
- 直葬より通夜などがある普通の葬儀のほうがいいんじゃないか
- 家に骨を持って帰れない(一回も家に帰れない)のは酷ではないか
- 自分たちはどうすればいいのか
柔軟剤やその他匂いについてのお願いは特に伝えませんでした。理由は喪服など基本家で洗う人は少なく、そのためクリーニングの独特の匂いや防虫剤の匂いは防ぎようがないこと。葬儀会場や火葬場ではもっと匂いが強烈なため、私自身が近寄りすぎないなどが一番の対策になると思ったためです。
そのため、距離感があることや離席する可能性があることだけは伝えた方が無難です。
葬儀場での注意点
葬儀場では線香・ロウソクの煙、花の香り、参列者の柔軟剤・香水などが漂いやすいです。
葬儀場自体ににおいが染み付いている可能性が高いです。
そのため、においや煙で体調を崩す事に理解してもらえる葬儀会社を選びたいところですが、現状としては化学物質過敏症に特化して対応している葬儀会社はほとんど無く、多くの場合は個別相談ベースでの配慮になると思います。そのため葬儀会社に協力を仰ぎつつ、家族と協力して分担するのが最善です。または、事前に市役所でどこまで協力できるかを相談してみるのも良いと思います。
私は初め「化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息があります。線香や蝋燭は置かない方向で考えています」と伝えましたが、途中で線香の話をしていました。
当日は線香が用意されていました。
そのため情報を絞って「少しでも煙や香りで体調が悪くなります」などと伝えた方が、相手に理解してもらえると思います。
正直、化学物質過敏症や嗅覚過敏、喘息当事者にとってはいい環境ではありません。無理な場所で無茶なお願いをすることは、お互いに良い結果になるとは思えません。
化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息当事者が火葬場で注意すること。限界は多い。
火葬場も化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息がある人には、良い環境とはいえません。
私の場合は玄関に入る前から体調の変化があり、ひたすら我慢してしまいました。
火葬炉の側に小さな部屋があり、そこで棺の小さな窓を開け、顔を見ながら最後のお別れをします。
少しの間読経は可能です(全員が線香をあげるぐらいの時間と言われました)が、何も打ち合わせをしないとお焼香の準備がしてあります。そもそも部屋自体がにおいで近づけませんでした。
私はスッと後ろに下がっていました。
ですが、親族が「あなたも(お焼香を)やってね」と言われたり、なかなか辛かったです。親族には事前に無理だって言ってたのに…。
次に故人が炉に入った後、約1時間半待機時間があります。
私たちの場合はお昼に重なるように設定したので、施設内の休憩室でご飯を食べました。
施設外にも出ることは可能なので、施設内の空気で体調が悪くなるようでしたら外出できます。
お骨あげ(収骨)に参加することは、一番おすすめしにくい場面です。
まず部屋が焼骨特有のにおいや熱気がこもった空間になるため、空気も非常に悪く、息苦しさから人によりますが呼吸をすると「ゼーゼー」等と音がする(喘鳴)・目の痛みなど体調に影響が出る可能性があると思います。
私は気合い(同調圧力により半ばヤケクソ)で参加しました。参加はしてよかったです。
ですが…その後何日も体調を崩したので、お勧めはできません。
化学物質過敏症・嗅覚過敏・喘息などがある場合、帰宅してからの注意点
兎に角、服や体についた匂いをすぐ落とすことが重要です。
- 帰宅中は車の窓を全開にする
- 玄関外で服をはたく。
- すぐに服を洗う。洗えない場合は2重にしたビニール袋に入れる。
- 全身を洗う
- 可能であれば鼻うがいもする
- 車の臭気抜き、ハンドルなど手につく箇所の掃除
火葬後
早く匂いを遠ざけたいと思っていましたが、親族が「義父母の住んでいた家に行きたい」「お経をあげたい」と急に言い出し、押し切られました。結果、親族6人が押しかけました。計9人、ギチギチでした。
- お経をあげた
- 宗教の話(勧誘)
- 世間話
左右に居住者がいるアパートです。お経をあげるとのことで音漏れ対策のため窓を開けることもできず、とても息苦しかったです。
身内といえどお客様。なかなか気も張るし席をはずす事も難しく、体調が悪いことを隠さないといけない。ただただ苦痛でした。
家には線香や蝋燭は初めから設置しませんでした。
仏花は花の匂いや幹の緑の匂いが辛いため、数日だけ飾ったあとは適宜ダイソーなどでフェイクグリーンや花などを買っていましたが、今は飾っていません(生花でなく造花を飾るぐらいなら、置くなと言われたため)。
蝋燭はスイッチで灯すタイプを使っています。
化学物質過敏症や嗅覚過敏・喘息などがある、葬儀参加を迷っている方へ
思い切って「その場に参加しない」選択をすることも視野に入れて下さい。
LINEやyoutubeなどリアルタイムで参加する、写真をとってもらうなど、参加者に相談してみて下さい。
「参加しない」は「何もしない」「何もできない」ではありません。調べたり、手続きや市役所や葬儀会社とやり取りをするために情報を集めたりと裏方に徹するなど、きっと「あなたができること」、「あなただから出来ること」はたくさんあるはずです。
「参加しない」という選択は、あなたの身を守るためのものです。無理をしたために体調が悪くなるのに、亡くなった大事な方が来てくれて嬉しいと思うはずがありません。
症状を理解してもらえない辛さを感じて、孤独感を感じることもあります。
ですが、本当に怖いのは、無理して参加したことで、その日だけでは済まない可能性があることです。
その場で体調が悪くなるだけでなく、あとから敏感さが強くなったり、体調への影響が長引いたりすることもあるため、できるだけ無理のない選択や事前の対策を考えることが大切です。
だから私は、「参加するかどうか」よりも、「どうやって自分の体調を守るか」を優先して考えました。
今まで経験したお葬式を「普通・常識」だと思わない勇気を持つことも大事だと思います。
周りの目を気にしないためにも「逃げる」ことは大切です。どうしても主体となって動かないといけない場合は、とにかく市役所・葬儀会社に相談して下さい。家族や親族と相談して下さい。
無理して参加することで、体調悪化を招く可能性があることを忘れないでください。
- 参加しなくてもいい
- 途中退席してもいい
- 断ってもいい
- 「それが普通」に流されない
- 「今できないから無理」でいい
私は小児喘息から一度完治し、また喘息を発症しました。葬儀やお骨あげも小学生の頃から参加していましたが、喘息は完治した時と今では症状の悪化の仕方が全く違います。直近では2025年と2026年に葬儀・お骨あげを経験しましたが、臭いの感じ方や感度・体調への影響も、残念ですが悪化しています。
親族は昔から知っていることも多いです。ですが、大事なのは「今のあなたの体調や体質」です。そこは親族が知らないこともあります。
参加したい、みんなと普通に見送りたいという気持ちは十分痛いほどわかります。また、回りの目も気になりますよね…。「同調圧力」と言えばいいのでしょうか。みんながしていると、私ができない・しないのはおかしいと思うことがあります。ですが、繰り返し言わせて下さい。無理して参加することで、『体調が悪くなる可能性がある』だけでなく、『今より悪化する可能性がある』ことを忘れないでくださいね。
家族に当事者がいる方へ
ご家族は苦しさをなかなか体験することはできません。日によって変化することもあります。ですが、苦しい症状や辛さなどは何度も見てきていると思います。
人によって、同じ病名でも症状や程度は違います。当事者である私でも、共感できても症状の苦しさを100%は分かり合えることはないかもしれません。
お願いとしては
- 逃げ場を作って下さい
- 「普通だよね」の空気を感じて逃がして下さい
- 過去や昨日ではなく「今」の状況で判断して下さい
- 無理することで、症状が悪化する可能性があります
です。
今回のことで体調が一段階悪くなる可能性があるかも…ということを、頭の隅に覚えていただけたら嬉しいです。
皆様の感想をお聞かせください!
化学物質過敏症や嗅覚過敏、喘息などを抱えてながら、葬儀などに参加された方のコメントをお待ちしています。
- 私はこう対策した
- こう言って逃げ道を作った
- 出なかったよ
- 相談先を詳しく知りたい…など
また、目や耳にハンデがある方ご本人やご家族様の不安や疑問があれば可能な限りで共有させていただきます。
コメントでぜひ具体的に教えていただければ嬉しいです。記事更新の参考にします!
記事はまだこれから加筆修正していく予定です。
ほかの方にも役立つ情報が増えるので、コメントをいただけると嬉しいです。

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